オールドレンズ M42マウント INDUSTAR 50-2 50mm F3.5 レビュー for 入門編

旧ソ連製レンズがウクライナから届いた。ebayでポチッとしてしまったからだ。オールドレンズがミラーレス機で楽しめると知ってからずっと興味はあったが、ついに興味と衝動に負けてはるばる日本にMade In USSRレンズが来たワケだ。

 

ツァイスのテッサータイプを模倣した癖玉の実力とは

INDUSTAR 50-2 50mm F3.5 マウントはM42で、デジタルカメラにはマウントアダプターを使用して取り付ける。このレンズを調べると歴史などの詳しい事は色々と出てくる。ここではそれらを割愛し、私の主観を記す。

私の手にしたこの INDUSTAR 50-2 50mm F3.5はキリル文字のソ連国内向けで83年製。
巷では癖玉とよばれている所以は、白とび、色飽和、ぐるぐるぼけ等の現代のデジタルレンズでは遭遇できない世界を持っているからだ。

ではその世界を味わってみよう。

P5311846

暖色、赤が濃厚にでるようだが、ここではそうでもない。真っ赤なモノでも次回撮ってみよう。

 

P5311902

中央の像の肩や右足の甲が白とびしているようにも見える。

 

P5311939

ぐるぐるぼけ。
背景の砂利部分なのだが、範囲が狭く分かりにくいので、少しでもわかるよう現像で色味を変えた。

当初ぐるぐるぼけが出てくれず、写真を見返してやっと『コレってぐるぐる?』と気付く。F3.5絞りで背景が特定の距離で出てくれるよう。このぐるぐるで何かを表現するのも楽しそうだ。

 

P5311850

私が撮影したものではこのように素直にぼける事が多く、安価な割に絞り羽根が8枚あるのでなかなかのぼけ感を出してくれる。

 

初心者のためのオールドレンズを使用した撮影方法

オールドレンズはもちろんAFは使えない。マニュアルフォーカスでピントを合わせる。当たり前だがカメラ側ではフォーカスも絞りも操作できない。両方ともレンズで行う。最初のうちは『Aモード』(絞り優先)か、『Pモード』(プログラムオート)が楽だろう。絞りはレンズ側で変更するため、『絞り優先』でも『プログラムオート』でも一緒なわけだ。
これらのモードでレンズでの操作に慣れたら『Mモード』(マニュアルモード)で撮影してみよう。マニュアルモードというと難易度が高く感じるかもしれないが、『レンズで絞り』『カメラでシャッタースピード』 と なり、カメラ本来の操作方法で撮影できる。現在のデジカメでの操作はカメラ側(主に右手で)絞りもシャッターも操作するというものが一般的だが、それよりも左右の手にそれぞれ役割が分散されて直感的に操作できる。特にフィルムカメラの頃からの数奇者には懐かしい操作感だろう。

 

仕様のための留意点

INDUSTAR 50-2 50mm F3.5はレンズキャップがプラスチック製の被せるタイプで着脱しずらい。絞りリングはレンズの一番前にあり、レンズの前面に絞り値が書かれているので、カメラ越しに上から絞り値を確認できない。絞り値を確認する時は上がら覗き込み、さらにカメラを真上に向けるようにしてレンズの前面を確認する必要がある。コンパクトなパンケーキタイプなのでまだ良かった。
この絞りリングに癖がもう一点。絞りリングは無段階の調整式で段ごとにクリック感は無く、操作するとフォーカスリングが少し動いてしまう。これもこのレンズのやっかいな仕様。
私のモノの場合は当初フォーカスリングのヘリコイドが途中途中で軽く『スッ』と手応えが軽くなる状態だったが、それは使用しているといつの間にか解消された。長期にわたり使われていなかった為か、ヘリコイドグリスが行き渡ってなかったのだろう。
写りは世間で言う『癖玉』の印象は私にはあまり感じられなかったが、この仕様も含めるとやはり『癖玉』なのだろう。だが、オールドレンズは癖も含め味わってこそ。これからも INDUSTAR 50-2 50mm F3.5を使っていこうと思う。

 

次回、 INDUSTAR 50-2 50mm F3.5とOLYMPUSのキットレンズを比較してみる。

4 thoughts on “オールドレンズ M42マウント INDUSTAR 50-2 50mm F3.5 レビュー for 入門編

  1. インダスター50は頻繁に使いました。色彩が地味で、古都の風景をしっとりと撮るなどという用途にはぴったりですね。反面、強烈な色彩の熱帯の風景を撮るといった用途には向かないと思います。ご紹介のインダスター50は、黒塗りのタイプと思われますが、アルミ地肌剥き出しの古いタイプのインダスター50もあります。こちらもテッサータイプですが、シャープさは感じられず、色彩はニュートラルで、新しいタイプのものと傾向が随分傾向が異なります。M42マウントの新タイプのものも持っていますが、こちらは何と一眼レフのゼニットの標準レンズでした。F3.5のレンズを一眼レフの標準レンズに採用することは国産カメラではありえない気がします。

    1. ENDOさん初めまして。コメントありがとうございます。
      すごくお詳しくて勉強になります!
      ご推察の通り黒塗りのタイプです。私が初めて手に入れたオールドレンズで、当初は価格とぐるぐるぼけにひかれて購入しましたが、今思うと私のようにマイクロフォーサーズで使用すると真ん中のおいしいトコロで画角が100mm換算なワケで、ぼけがぐるぐるするであろう
      部分はセンサー外だということに後から気づいた次第です…

      1. カメラの世界はあくまで主観であっていいと思います。どのレンズをどのボディになどと考えずに、ミラーレス一眼の恩恵が受けられることは大変喜ばしいことだと思います。私が初めてフィルム一眼を手にしたとき、”F3.5は暗い”は常識だったけれど、ニコンZ6などはISO51200という、まるで暗闇でも昼間のような条件も簡単に創出できることから、”やってみる”、”楽しむ”なんていい時代ですね。

        1. きらさん初めまして。コメントありがとうございます。
          フルサイズの感度性能は圧倒的で夜に強そうですね。
          近年各社フルサイズのミラーレスを出して来ているので、オールドレンズ用に一台欲しいところですが、懐もさみしいので、手頃なフルサイズミラーレス出ないかなぁと淡い期待をしています。

ENDO へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です